パートナーインタビュー
人とITがともに活きる世の中へ
セラピストマッチングプラットフォーム「QOHS(クオース)」
株式会社 SMILE CREATE GROUP
代表取締役伊藤 賢治
ならでわ 株式会社
代表取締役大塚 拓也
百貨店に店舗を構える女性専用の整体サロンPOWWOW(パウワウ)やファスト整体スタンドCHARGE(チャージ)など、笑顔である為にかかせない健康をつくるヘルスケア事業を複数展開し、治療・予防・リラクゼーション・ビューティー・スポーツ・エナジー(健康活性)等全てを対象に笑顔創造を行うスタートアップ企業。
写真を比較して顧客管理ができるサロン向けアプリ BEFORE AFTER® の開発・運営や、AI(人工知能)を用いた自動採寸の開発など、医療やヘルスケアを中心とした事業を展開し、経済産業省地域未来牽引企業、栃木県経営改新計画承認企業に選定されるなど、「栃木県から世界へ」を発信するスタートアップ企業。
まえがき
新しいリラクゼーションの形を提案する「QOHS(クオース)」は、アプリで自宅にセラピストを呼ぶことができるサービスです。渋谷PARCOの拠点を置き、店舗でも施術を受けることができます。海外ではよくあるサービスモデルでも、国内では珍しいモデルです。なぜその事業をスタートさせようと決意されたのか、その原動力は何かを、17年間、整体やマッサージというリラクゼーションを事業として経営している伊藤氏のルーツ、マインド、ビジョンをお伺いしました。そして、医療という領域で新しい挑戦をしている、ならでわ株式会社の大塚氏と共に、三社だからこそ実現できる未来についてのお話をさせていただきました。
平畑

海外だとZeelやSootheというものがあって、日本の場合だと介護での訪問マッサージはあると思うんですけど、クオースのようにカジュアルにマッサージを訪問でうけられるサービスってあまりないじゃないですか。どうして、クオースを立ち上げようと思われたのか、背景などお伺いさせていただけますでしょうか。

伊藤

クオースのビジネスモデルは、3年くらい前に知り合いの方がシリコンバレーに行かれて、メールか何かで、「伊藤さんこのビジネス知ってますか?」と教えてもらったのがきっかけです。その方は、大企業の新規プロジェクトの為にシリコンバレーに行って、買収の相手もしくはビジネスモデルを調査して日本に持ってくるというのがミッションだったらしいです。

その後調べたらUberの様なCtoCビジネスで、アメリカで資金調達を数十億したとか。すごく面白いなと思ったのですが、やはりネックに思ったのが、出張ってなるとちょっといかがわしいイメージがあるし、芸能界でもそういうトラブルというか事件もあったりして、結構デリケートなんで、単純に面白いだけでは進出できないだろうなと思っていました。そうすると一昨年、渋谷PARCOの方から、「今までにないリラクゼーションサロンをやりたいのですが何かないですか?」と。業界初の試みのものが欲しいということでした。「今回のリニューアルする渋谷PARCOは、PARCOの全精力かけて次世代のショッピングセンターはこれだ!というのをつくりたいんです。アパレルもそれぞれみなさん協力してもらっていて、商業施設も横並びでどこにでもあるってところから、ここにしかないもの、モノからコト消費、コトからここにしかない体験っていうのをさらに求めています!」ということでした。

色々考えた結果、「出張リラクゼーションのフラッグシップみたいな感じで、隠れ家サロンでアプリで自動ドアで開いてそんなのどうですかね?」と提案すると「すごく面白いですね」となりトントン拍子で進みました。これまでの出張マッサージのいかがわしいイメージも渋谷PARCOにお店があるってことでお客様にも一つ安心してもらえると思いました。そこでアプリ制作を大塚さんと平畑にお願いしたというそんな経緯です。

平畑

セラピストさんも業務委託って今まで別の店舗でない形だと思うんですけど、クオースの場合は自由な時間に働けるという、雇用の形態としても新しい可能性というか選択肢があって、個人的にもすごく面白さを感じていて、業界としてもあまりないのかなって思っているのですが、実際のところはどうでしょうか。

伊藤

業界としてはむしろ業務委託のほうが多いんですね。

平畑
あ、そうなんですね。
伊藤

そうなんですよ。正社員とか時給だと固定費が上がってしまうので、経営側としては変動費で業務委託として運営する方が多い業界です。

平畑
店舗で働いてはいるけど、業務委託という。
伊藤

そうなんです。そういうのが圧倒的に多いですね。だけどセラピストのデメリットってやっぱ拘束されちゃうんですよね。例えばサロンに出勤して6時間いてお客様が来店されるか?されないか?予約が入るか?入らないか?だと自由な時間がないんですよね。だけど、今回のクオースは家にいながら予約が入らなければ、家事だったり自分の好きな時間があるという本当のフリーランスの働き方が実現できます。つまり拘束された業務委託ではなく拘束されない業務委託なので今までのリラクゼーション業界の業務委託とは全く違うのでセラピストにとってはいいんじゃないかなって思いますね。

平畑
基本的は業務委託だと店舗に出勤して、ふらっと立ち寄ったお客様も対応しながら、でもお客様がいない間もずっとそこにはいないといけないということですよね。
伊藤

そうなんです。だからスタッフルームで、家みたいに過ごしている人もいるらしく、ほぼ住み着いている人もいるみたいですよ。

平畑
それは、なんかやばいですね。
伊藤

そうですよね。やっぱり空間も良くないんだろうなって思います。

平畑
個人的に、今までマッサージはご褒美の位置づけになっていて、日常使いというより特別なときにいってリフレッシュするというイメージがあったんですけど、CHARGEやクオースもそうなんですけど、特別というよりは日常に溶け込むというところがあると感じていて、POWWOWやJYOICHIのようなもちろん特別なマッサージも事業としてやられていて、またゆびたまごやightの商品開発であったり、マッサージの事業をやるとき、同じ店舗を増やしていくのがビジネスモデルとしては当たり前だと思うんですが、いろんな角度からマッサージを軸にした事業を幅広くやられている理由や、事業をする中で感じるヘルスケア業界の課題をお伺いさせていただけますでしょうか。
伊藤

こんなこといったら誤解されちゃうかもしれないんですけど、マッサージが好きでやってるわけじゃなくて、マッサージを通じて相手が笑顔になっていただく。社名の通り笑顔を創るための手段がたまたまマッサージだったっていうきっかけなんです。

リラクゼーションとか整体とか鍼灸按摩も含めて、業界的にこれまで運動をやっていて、自分が怪我したとか、自分がお世話になったとか、自分が痛いときに助けてもらったから自分も同じような痛みの人、同じようなストレスを抱えている人の役に立ちたいっていうきっかけで始める方が結構多いのですが、僕は全然そういう感じじゃなくて、マッサージもほとんど受けたことがなかったんです。ただ実は祖父と祖母が鍼灸按摩屋を経営していたというルーツもあります。おじいさんおばあさんの家に遊びに行くと、いわゆる家業っていうでんすかね、家の一室でマッサージをやっていたんです。従業員の方が10~20人くらいいて、「ぼっちゃんよくきたな、肩もんだるわ」って言われて、「痛い痛いやめておっちゃん」みたいな(笑)
それこそ30年前ってリラクゼーションっていう言葉ってなかったと思います。子供ながら按摩とか鍼灸とかどうしても暗いイメージで、年配の方が行くイメージでした。

高校を卒業し、洋服屋をしたくてアメリカに留学へ行き日本から買い付けにくるバイヤーの手伝いもしました。その時数名のバイヤーの方にアパレルはやめたほうがいいよ、この業界は昔は良かったけどもう大変だよと。その時の自分からすると、まさに夢を実現した経営者だったり、バイヤーの人たちから言われたので正直ショックでした。

その当時、好きを仕事にするのが幸せだと思っていたんです。自分の好きなことって何かなって思ったら、洋服なので洋服屋さんしたい、イコール自分の人生楽しいみたいなイメージだったのですが、それが実現した人達に聞くと、全然そんなもんじゃないよ、そんな甘くないよって。じゃあ仕事ってどうやって選んだらいいのかなって悶々と悩んだのですが、でも夢を捨てきれなかったんでお手伝いを続けていました。ある時お昼休憩の時に、たまたまバイヤー方にマッサージしましょうかって、「あ、ここ張ってますねって、ここ凝ってるんじゃないですか?」と話しながらマッサージをしていると「なんで上手いの?そこ、そこ、ちょうど飛行機で疲れてたんだよ。すごいね、習ったことあるの?」と聞かれた時、「実は実家が按摩屋さんなんですよ。」って言うと、「めちゃくちゃ向いているから服屋なんかやめて、すぐ日本帰って、すぐ勉強しろと、こんなところでフラフラしてる場合ちゃうぞ」ってみんなに言われたのを思い出します。その経験から、表面的な好きを仕事にという洗脳から外れて、自分が好き嫌いではなく、相手が喜んでくれて自分も喜びを感じることができる、そんな仕事ってすごくいいなと思いました。

この経験があり、よしこれを仕事としてやろうって思ったのが始まります。ただ一つネックだったのがマッサージの暗いイメージが自分には合わないなーと感じていたのですが、ふと自分がやったらイメージ変えれるなって思ったんです。
もっとオシャレなお店をつくって、若い人も来れるような、昔ながらの暗いイメージを壊せるんじゃないかなって思いました。それから3年後に銀座一丁目にお店を出すというスピードで、本当に僕の人生が変わりました。それまでフラフラしてたんですけど、2004年6月に店をだして、あっという間に17年たって、今40歳です。

長くなったんですけど、そういうルーツがありマッサージをやりたいとか、業界がどうって話より、様々な手段を使ってお客様に喜んでもらうか、笑顔をつくっていくかというのが自分にとって大事なポイントです。

平畑
手段として捉えているからこそ、ビジネスの考え方が柔軟ですよね。それに、20歳でそれに気づくって本当にすごいですね。
伊藤

いやぁ、優秀じゃないからこそ、自分に何ができるのかとか、今後自分はどんな人生を歩みたいのかと常に考えていました。学生時代は逃げてきた人生だったのですが、そんな中でも自分しかできない事があるはず!とも思っていました。

平畑
クオースもそうなんですけど、店舗を経営されている方って、ITとかシステムとかアプリって、集客とかツールとして使うことはあると思うんですけど、それを自分で作ってしまう、そこに興味を持つということが不思議だったんですよね。なんでだろう、すごいなぁって。今のお話を聞くと、留学とかのお話もそうだし、先ほど手段っておっしゃってたと思うんですけど、そのお話聞いてすごく納得できましたし、この人なんか面白そうだなってときに、実際にお話されてたりする行動力も、20歳の頃からそうだったんだなって思って(笑)
伊藤
そんなことないですよ(笑)すごい人見知りなんですよ。それこそ、異業種交流会とか経営者が集まって名刺交換してわいわいするとか全然苦手で(笑)
平畑
それこそ大塚さんにもグリッド線アプリきっかけで、伊藤さんのほうからご連絡されたんですよね。
大塚
そうですね、5年くらい前ですかね。
伊藤
そう。そういうアプリ作りたいなって調べたら、BEFORE AFTERというアプリを既にやられていて、ダメもとで連絡したら、全然いいですよみたいな感じでした。ちょうどそのとき、ホームページ制作会社も切り替えのタイミングだったのですが、大塚さんからは営業を受けたことなくて、本当にアプリだけの関係だったんですが、あるときお願いした制作会社から全て移さないといけなかった時に、大塚さんに電話してうちのホームページ見てもらえますか?って聞いたら、いいですよと。それで大塚さんとの付き合いが始まってっていう感じです。
平畑
大塚さんもヘルスケアに絞ってやられていて、大学での共同研究もされているじゃないですか。医療のヘルスケアと、マッサージのヘルスケアとは少し異なる部分もあるかもしれないんですけど、大塚さんはヘルスヘアをどんな捉え方されてますか。
大塚
最近、ヘルスケアの定義が広がっている気がするのですが、根本的には、同じだと思っていて。必要な人が適切なタイミングで必要なケアを受けられる、そして僕らはこの仕組みをテクノロジーで手助けできることをミッションとしております。一番コアな部分としては、「変わりたいと想うキッカケをつくりたい」、その手段が僕の場合、BEFORE AFTERアプリですね。このアプリは、元々自分の原体験からできたアプリなのですが、僕自身が交通事故で腓骨脛骨を折ってしまい、長期入院をしてました。その時にリハビリを担当してくれた理学療法士さんが施術前後の写真をずっと撮ってくれていて、そこで初めて客観的に自分の足を見たのですが、思った以上に足がやせ細ってしまっていて、、、そこでめちゃくちゃショック受けたのですが、これが良くも悪くも、、、結果的に変わりたい、と思うキッカケになって。

平畑
それはいつぐらいだったんですか。
大塚
ちょうど起業する半年前くらいですね。
伊藤
小さい頃から起業家になりたかったんですか?
大塚
僕は、高校卒業した後に知人と人材派遣の会社を経営していて、その時は18、19のくらいの時ですかね。そもそも大学行くっていう選択肢はなくて、高校生の頃に、週末バイトでクラブDJをやったり、その流れで自分のサークル立ち上げて、単独イベントやったりして収益を上げながら、自ら稼ぐという事をやってました。

なので社会人になったときに、どこかの会社に入ってお金をもらう、という事が考えられなくて。結構昔から、働いた時間でお金を稼ぐとか、時給という概念が嫌いで、自分が作ったものや価値で、利益というか収入につながることをしたい、と思っていて。高校卒業後に、人材派遣業がピークになっていて、この事業を選んで起業してわけなのですが、約3年くらいやって、売上的にはすごく順調でした。ただ、毎日淡々と売上を追っている日々に嫌気がさしていたころ、リーマンショックがきて。その後、知人に派遣会社を任せ、東京へ上京してきました。
伊藤
えー、すごいですね。起業したいっていう気持ちって小さい時からイメージってあったんですね。
大塚
高校生の時からですかね、雇われて指示を受ける側ではないかな、と思ってました(笑)自分で考えて、すぐ動きたい派なので、普通の会社じゃ、すぐクビになっちゃうか、すぐ辞めるなと思って。
平畑
面白いですね。
伊藤
そうですね。その手段の表れなんですね。大塚さんも、BEFORE AFTERアプリのターゲットは当初美容室だったのがピボットして整体になってますしね。
大塚
はい、整体やエステサロン向けにピボットしました。
平畑
伊藤さんって、個人的に思ってるのが、何かこういう事業をやろうと思ったときに、チャレンジ精神というか、実行力半端ないなと、渋谷のPARCOだったり、本当にすごいなと思っていて。またそれがスタッフさんにも浸透しているような感じがして、同じようなマインドというか持っているなっていうのをすごく感じているんですけど、経営的なチャレンジしていく部分とか人材育成の部分とかってどういう感じでやられているのかなってすごい気になっていて、うちは人数も少ないっていうのもありますし、みんなそれぞれが独立してやっている感じなので、集団としてまとめ上げる部分ってすごく大変だと思うんですけど、心がけていることとかってありますか。
伊藤
いやぁ、めちゃくちゃ大変ですよね。基本前提としては、さっきの話と同じで、別に僕は優秀だから経営者になったわけではないっていうところが、大前提であるからこそ全員に可能性があると思っているんです。

世の中残念なことに、よく会社や上司などの愚痴を言って何も行動しない人がいると思うんですが、それだと何も変わらないしそんな働き方、そんな生き方は自分は嫌だなと思うんです。少なからずスマイルクリエイトのメンバーはそんな働き方をして欲しくない、一人一人が無限の可能性を持っていてこの会社を通じて自己実現をして欲しいと思っています。
その考えがビジョンにある「1000の事業」に繋がっているんです。
平畑
そういう話続けることによって、徐々にこう、そういう風に。
伊藤
そうですね。今すぐにこれをやりたい!と思っていなくても将来いつか自分も何かやりたいと思ったときに、この会社で何か立ち上げたいなとか思ってくれたら嬉しいです。
平畑
本当にすごい、まとまっているというか。
伊藤
まぁ実際は、失敗と反省の連続ですけどね(笑)ただ最近、ずっとやってきた中で反省しているのが、それを過度に押し付けてたわけではないんですけど、そういう生き方もある、うちではその可能性がある会社だよ。と言ってきたのですが言われたことだけをやっていきたいという方もいるので、その方達には苦痛だったと思います。結果辞めていきましたね。
平畑
責任を背負っちゃうみたいな感じですかね。
伊藤
うーん、どっちが良い悪いじゃないですけど、やっぱりしんどい、つらい人もたくさんいるんだなって。
大塚
ちなみに、CHARGEとかクオースって、もうすでに社内の誰かやりたいって言った事業なんですか。
伊藤
基本、0から1は僕が立ち上げて、あとは一緒にみんなとやっていく感じです。
大塚
なるほど、人って2タイプあると思うんですけど、0から1を得意とする人と、1、10が得意な人。起業家タイプと経営者タイプの両方がそろうことでバランスが取れて良いと思います。
平畑
人を見て攻め方を判断するというか。
大塚
そうですね。アイディアがポンポン出てくる人には0、1を、そのアイディアをちゃんと形にして、実行できる人には1、10を。どっちも大事なポジションなのですが、その人の特性に応じて判断することを大事にしています。

平畑
伊藤さんもそういう育成みたいなところで悩まれたりとかはありますか。
伊藤
ずっと悩んでいます。これまで心理学的なものを取り入れてみたり、色んなことをやってきました。本を読んで皆で勉強会したり、整体とは関係ない勉強もたくさんやってきました。そもそも、人としてどういきたいのか、無理やりプラス思考じゃなくて、まず自分を受け入れようよみたいな。他人軸で生きるんじゃなくて、自分の軸で生きようよっていう内容ですね。
平畑
そこまでやっている会社って、あんまりないですよね。すごいですね。
伊藤
そうなんですけどね、色んな研修やってもたくさんの人が辞めていきました。そしてその都度、悶々としますよね。この人の退社は、何が良くなかったんだろうって、一個一個やっぱり自分に問いますね。ただ最近はうちも体制が整ってきたので、バランスは良くなってきた感じはあり、優秀な方が多く入って有難いです。でも人は永遠のテーマですよね。
平畑
人って一番難しいですよね。しかも、人数増えれば増えるほど、色々ありますよね。
伊藤
そうですね。これまで社員が30人ぐらいいたんですけど、ビジネスモデルを変えて減っていって今は20人ぐらいなんですけど、かなり濃くなってきたんで、ミッションビジョンは基本通じるメンバーだけになってきています。だから無理やり社員を増やそうとは全然していません。今はそもそも通じる人だけを入れているんで。
平畑
今ってデジタル化が進んできていて、ヘルスケアの領域に置いても、デジタルヘルスが市場的にも伸びてきている状況で、ただ成功させているプレイヤーが国外問わずあまりいないと。そこで重要となるのが、知る・届ける・集めるというこの3点が大事だと思っていて、知るというのが大塚さんがやられている自動採寸とか、今まで人が見ないとできなかったことを、自動化したり高速化したり遠隔化したり、届けるというのが伊藤さんがやられているお客様に対して施術するということで、そうやって行って得たデータを集めて、そのフィードバックをサービスを反映させていくことが重要だと、この3つを実現することで、サービスのミッションを成し遂げることができると思っていて、うちとしてはその集めるというところで力になれると感じていて、大塚さん、伊藤さんがずっとやってこられたことを、自分たちはミッションを成し遂げるところにつなげていくことで、このヘルスケアの領域に力を注いでいきたいという思いがあるんですけど、この領域で今後やっていきたことを、お二人にお伺いできればなと。何かありますか。
伊藤
大塚さんはありますか。
大塚
最近の取り組みとしては、スマホのみで全身の採寸ができるアプリを作っています。このアプリをキッカケに、健康を数値化したいと思っていて。例えば、メタボって言われてもなんとなくお腹が出ていれば、そうなのかな、と。数値化されてないと基準も分からないし、痩せるべきなのか、そのままで良いのかも分からない、なので僕はこういう曖昧なものを全部数値で見れたら、と思い開発したのが、体型の自動採寸アプリです。そして、体型の次は姿勢数値化もやろうと思っています。

よく姿勢が悪い、って言葉は、使ったりすると思うんですけど、その悪いっていうのを、数字で見てることで、どれくらい悪いのかスマホで簡単に見れるプロダクトにして、改善したいと思うキッカケを提供したいですね。

あと個人向けだけでなく、店舗向けにもリリースして、お店での施術効果を数値化し、最終的にはお店のスコア化に繋げたいと思っています。

今だと口コミを見て、そのお店に行くか決めると思うのですが、そのお店の技術レベルというか、効果がどれくらいなのか、行ってみないと分からないじゃないですか。行く前から技術レベルを知ることができて、その情報と、口コミの評価で総合的に判断してからお店に行ける流れができれば、ミスマッチも減るのかと思っています。これは整体やエステサロンなどに限らず、個人的には歯医者さんでもこういったスコア化もやりたいですね。
伊藤
そういう風に思ったときに、技術的なものって必要じゃないですか。そこはどうやってフィットさせるんですか?
大塚
アナログでやっていることをデジタル化するイメージです。例えば、姿勢の数値化に関しては、既存のゴニオメーターを使った角度計測をAIに学習させてアルゴリズムを構築します。そしてAIの推論が正しいか、大学病院などと共同研究を行い、精度や非劣勢試験の検証を行うことで、既存の方法と比較をし、結果的にAIの方に優位性があると分かれば製品化する流れですね。基本的に、数値化できるものを中心にやっていて、そのあらゆる数値を組み合わせて、相関分析し、最終的にはスコア化したいなと思っています。
伊藤
よくIT技術をもとにこんなことができるんじゃないかという発想って色々あると思うんですけど、そんな感じですか。
大塚
僕の場合は、IT技術が先ではなく、リアルで起きている課題を改善する方法して、利用するのがIT技術というイメージです。特に、人によってばらつきが生じている、アナログでは非効率なことをやっている、こういったものにAIを使う事でより便利に、より正確にできる、そういったプロダクトを作っていきたいなと思っています。
平畑
こういうITの業界だと、シーズ発信かニーズ発信かみたいなところがあると思うんですけど、技術をとにかく極めて、これを何に生かそう、何に使えるかなという方向性と、こういうのあったら絶対役に立つよねっていう方向性と、そのためにどんな技術が必要なのかみたいな、結構分かれることが多いかなと思っていて、そこも結構マッチしないとできたけど…みたいなところあったりするんで、両方必要だと思うんですけど、割と分かれることが多いような気がしてますね。
伊藤
そういうIT技術的なことは全く分からないんで、この技術をどの様に掛け合わせればいいかがわからないんですよね。

平畑
それは間違いなくニーズですよね。こういうのがあったらいいっていう。
伊藤
これで喜んでもらえるっていうのは分かるんですけど、×ITってなったときに、何をかければいいんだろう。どんな事がAIでできるのか?がわからないんです。MAG-NETで平畑さんにお願いする時、そういうことも相談してコラボできたらうれしいですね。
平畑
今までっていうのはどうしても、こういうのがやりたいというのがあって、それだったらこうじゃないですか、ぐらいの感じだったんですよね。そこって、なんのためにやりたいんだっけっていう、抽象度をあげて、そこからじゃあだったらこうしたほうがいいよねっていうところを本当にやっていきたいと思ってるんで、もう是非。
大塚
平畑さんの方では、ディレクションの部分からWEBやアプリ、ウチの方ではAIというすみ分けで、最終的には集めたデータを解析し、次のサービス展開に生かす、みたいな組み方もありかと思います。
平畑
そうですね。データ自体を取ってくことも重要なんですけど、テクニック的にデータをこうしたら、このぐらいコンバージョン上がりますよみたいな使い方になっちゃうと、変な方向にズレていっちゃうんで、そこはやっぱりデータの扱い方もきちんとミッションから下ろした形で、どういうデータを取ってどう扱っていくのかっていうことをやってかないと、難しいのかなって思っているので、そういったところも入らせてもらえたら、面白いものが出来上がるような気がします。

知る部分のAIと届ける部分と、集めたデータをお戻しするような組み方ができたら、三社で面白いことができるんじゃないかなと思います。
伊藤
僕が今新しいこと考えてるのは、ひとつはD2C。今メーカー事業もやっていますが、ダイレクトにお客様とつながって販売していきたいですね。あともうひとつはフェムテック。女性の健康だったり、今まで踏み込まれてない領域までしっかりサポートしていきたいと考えています。
平畑
フェムテックは確かに、これまでやられている事業ととても親和性も高そうですね。
伊藤
様々な悩みをテクノロジーで解決できたら、めちゃくちゃ面白いなって思っています。その為に実際にお客様にインタビューしたりアンケートを取ったりしていますね。
平畑
大塚さんは新しい事業は何か考えられてたりしますか。今自動採寸やってるじゃないですか、その次みたいな。
大塚
自動採寸や自動角度計測で得た数値データの中から、最も効果がある方法を見つけたいですね。これができれば、経験の少ない施術者でも、ベテランの人と同じ内容の施術を行うことができて、その施術を受けた人が少しでも早く改善できる仕組みを構築したいと思っています。特に今日本が抱えている高齢化問題にも取り組み、その解決策を世界に発信したいと思っています。
平畑
それが実現できたらめちゃくちゃ面白いですね。

新規事業として新サービスの立ち上げのご依頼をいただくことが多いんですけど、当然新しいサービスなのでまだ成功するかわからないし、誰も正解を持っていないですよね。

しょうがない部分もあるのですが、開発に着手するときに、お客様からサービスの仮説をいただいて、それが真実であるかのように、そのまま作ってきてしまったんですけど、それじゃ駄目だなって強く思っていて。折角リリースしたのにうまくいかないことが多いんですね。

なので、仮説は仮説のままで受け止めて「サービスが描くミッションに本当にこの機能が沿っているのか」、「ユーザーとのタッチポイントに問題はないか」ということを弊社がリードして、お客様と伴走しながら、サービスの成長を一緒に目指していくというようなお取組みをしたいと思っています。

そういう意味では、システムの枠を外れても良いと思っていて。
よくあるのが、プロトタイプを作ってほしいという依頼なんですけど、そのまま作ってしまうと当然プロトタイプとはいえ工数がかかってしまうんですよね。でも実はプロトタイプを作らなくても検証できるケースもあったりするので、そういった検証方法も含めてご提案させていただいて、最短ルートでサービスが成長していけるようにサポートしていきたいと思っています。…なので、これからも是非とも宜しくお願いします。(笑)
本日はお忙しい中ありがとうございました。

あとがき
どうしてここまでできるんだろう、どうしてこんなことを思いつくんだろう、という漠然とした疑問は、きっとほんの一部ではありますが、今回お話いただいた個人のルーツと共に、これまでの実績や周囲の人との関わりから生まれてくる発想であり、様々な経験の中で構築してきた信念からくるものだと改めて分かりました。目の前の人が描くビジョンと、私たちが描くビジョンが重なって実現される未来が、とてつもなくワクワクするとき、その心が躍る一方で、本当に頑張ってきてよかったなと感じました。私たちにできることがたくさんある、確実に力になることができる、技術はこのためにあるのかもしれないと思えるほどでした。こうして新しいものが生まれていく瞬間に携わることは、会社としてだけでなく一個人として、これまでの努力や実績が報われる瞬間でもあると思いました。もちろん、サービスは人の生活を変えてこそゴールではありますが、そのプロセスの中で、これまでの自身を振り返り、これでよかったんだと再び先を見て、更に私たちだけでは実現し得ないビジョンが共鳴していくような未来を共に追い求める、同志と呼べるような方と共有できる時間をこうして持てることが本当に幸せです。技術だけでなく、ビジョンをより明瞭にすることで、私たちにしかできないことを追い求めていきたいと強く思いました。